
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において
(善行を積んだ魂に言われるであろう。)おお、安心、大悟している魂よ、
あなたの主に返れ、歓喜し御満悦にあずかって。
あなたは、わがしもべの中に入れ。
あなたは、わが楽園に入れ。暁(あかつき)章 偉大なるクル アーン
89: 27-30節
世界の16億以上の人々から成るイスラム教は、他の創造物間にある人類の創造と存在の目的について統一した見解をもっている。イスラム教は自然と論理と科学を完全適合する生き方である。
「イスラム」というアラビア語の言葉は、アッラーの意思と命令への自発的な降伏と従順を意味する。「アッラー」はアラビア語で、イスラム教徒はその単語を神という意味で用いる。自由にまた意識的にイスラムの生き方を受け入れ、それを心から実践する人を「イスラム教徒」と呼ぶ。
神の唯一性(タウヒード)は最も重要なイスラムの信念だ。全ての存在するものは唯一無二の創造主から始まる事を意味する。また神は糧を与え、唯一の導きの源である。この信仰は人間の生活の全ての面を担っている。この基本の真実を認知すると、宗教的なものと世俗的なものの分割を拒絶し、存在論の統一見解に達する。
この基本的な真実に気が付くと、宗教と世俗の分割を拒絶する統一見解に至るだろう。アッラーは唯一無二の力と権威の源であり、したがって人類の崇拝と従順に値する。創造主に比類する存在の余地はない。タウヒードはアッラーは御産まれにならず、御産みにはならないと教えている。主には息子も娘もいない。他の創造物と同様に、人間も主の主題である。
使徒伝(リサーラ)または預言者伝
人類で最初の人間が創造されて以来、アッラーは唯一の神の信仰を呼びかける使徒達を送り、人類へ主のお導きを啓示された。アッラーに啓典を与えられた使徒達は預言者と呼ばれた。使徒の教えが人々によって歪められた時は、至高なるアッラーは人間が正しい道に戻るようにまた使徒をお送りになられた。伝記はアダムで始まり、ノア、アブラハム、イスマイル、イスハ-ク、ロット、ジャコブ、ジョセフ、モーセ、そして人類への最後のアッラーの預言者であるムハンマド(彼ら全てに平安あれ)で終わっている。
アッラーが啓示した啓典は:モーセ五書(タウラ)、詩篇(ザブール)、ゴスペル(インジール)とクルアーンである。クルアーンは使徒ムハンマドﷺに最後の導きとして与えられた啓典である。これらの全ての啓典の中で、クルアーンのみが啓示された原型から変化していないままである。
死後の世界(アーヒラ)
この信念は、信者はアッラーに対して説明責任があるとして、彼らの人生に絶大な影響を及ぼす。審判の日には、私達は人生をどのように生き抜いたかと裁かれるだろう。アッラーに従い崇拝する者は、楽園に幸せと祝福の永遠の場所を与えられるだろう。その他の者は罰と苦難の場所である地獄へと送られるだろう。
イスラム教の五柱
イスラム教の五柱を正確に誠意を持って行動に移すと、イスラム教徒の人生を創造主の意思と一致し自然と調和する暮らしへと変化させる。それは人に社会の不正と虚偽と悪の根絶と、正義と平等と公正の設立を目指して努力するように促している。
1.信仰告白(シャハーダ)、基本の五柱の初めは信仰告白であり、故意にそして自発的にラーイラーハ イッラッラー、ムハンマド ラスールッラーと宣言する。「アッラーの他に神は無い。ムハンマドは神の使徒である。」という意味だ。この告白はイスラム教の全ての行動の基本であり、その他の基本事項はこの宣言に続く。
2.義務の礼拝(サラート)は一日五回行われる。これは信仰の実践的な表明で、信仰者と創造主を繋ぐ。サラートは信仰者を規則正しく、人生において真実への揺るがない従順さ、忍耐と正直さを促す。
3.施し(ザカート)はイスラム教徒の毎年の蓄えからの義務の支払いである。これは貧者や困窮者や社会の一般的な発展の為に支払われる。ザカートはイスラム教徒が多数の国の経済の基本原則の一つであり、国民が貢献し分かち合える平等の社会を保障する。
4.斎戒(サウム)は毎年ヒジュラ暦の九月であるラマダン月の間に行われる義務の斎戒である。イスラム教徒は日の出から日没まで、飲食やタバコや性行為を避ける。サウムは信仰者の道徳心と精神の基準を発達させ、自己中心や貪欲や浪費やその他の悪癖から信仰者を守る。サウムはまた全能の主への義務事項を満たす為に、イスラム教徒の決心を強化する為に毎年行われる訓練期間である。
5.巡礼(ハッジ)は一年に一度の行事で、経済的、肉体的に可能なイスラム教徒が人生に少なくとも一度だけ行うことが義務である。ハッジとはヒジュラ暦の12月にサウジアラビアのメッカにある「アッラーの家」(カーバ)へ巡礼する。ハッジは人類の統一を象徴している。様々な人種と国からイスラム教徒が、主に仕えるために平等に兄弟姉妹として集合するのである。
クルアーン
クルアーンは、天使ガブリエル(ジブリール)を通じて使徒ムハンマドﷺに啓示されたアッラーのお導きの最後の啓典だ。クルアーンの一語一語はアッラーのお言葉である。クルアーンは記録と保存に関して比べられるものはない。人間の改編や省略で原型がそこなわれた他の啓典とは違って、クルアーンは1400年以上経っても、一語さえも変更されていない。クルアーンは最後で最終の人類への啓示であり、人間の人生の全ての面を担い、死後の世界と関連するものである。
ハディース
ハディースとは使徒ムハンマドﷺの言動と無言の承諾を集めたものだ。ハディースはクルアーンとそれをどのように実践するかを説明している。ハディースは使徒の同胞によって細部まで記録された。
使徒ムハンマドﷺ
アッラーの最後の預言者であるムハンマドﷺは、571年にアラビア諸島のメッカに誕生した。彼は40歳の時にアッラーから最初の啓示を受けた。同時期にメッカの人々は偶像を崇拝していた。使徒ムハンマドﷺは彼らをイスラムへと導いた。その中の数人はイスラム教徒になり、その他は彼を非難して彼に背を向けた。使徒としての13年間の間に、ムハンマドﷺはメッカからマディーナへと移住した。
使徒ﷺは初期のイスラム教徒を集め、忍耐と賢さをもってアッラーのお導きを宣教した。最終的にはイスラム教はアラビア全体に確立され、世界の歴史と文明の発展にとても貢献した。使徒ムハンマドﷺは63歳であった632年に亡くなった。彼はクルアーンとスンナ(道)を次世代の為に、導きの源として残した。
結婚と家族生活
イスラム教では結婚が家族の基礎である。結婚は男性と女性が承諾する厳粛だが簡単な契約だ。イスラムは婚前交渉を禁じ、男性と女性が自由に交流することを禁じている。多数の相手との婚外交渉は罰せられる。性別による差別はない。夫婦は平等なパートナーであり、敬意を持ってそれぞれの役割を果たす。
食事
イスラム教徒は身体に良いものを食べるように勧められている。イスラム法においてアッラーの御名を唱えながら、動物を屠殺するように命じている。どのような種類のアルコール飲料も禁じられている。また豚肉と血液の飲食も禁じられている。
服装
イスラム教徒はきちんと適切に身体を覆わなければならない。正装に関しては、シンプルで謙虚な服装が勧められる。男性はへそから膝までの部位を覆わなければならないが、特定の服装は勧められてはいない。女性は顔と手以外の身体全体を覆わなければならない。半透明であったり、身体にピッタリであったり半裸体のような服装は、イスラムの教えに反する間違った信号を送るかもしれない。純シルクと金は男性には禁じられている。
社会秩序
イスラムは常識と謙遜と良い行動を教えている。約束を守ることや誠実さや正義、フェアプレーや貧者や困窮者の援助、両親や先生や年配の方への尊敬、子供への愛や隣人や親戚との良い関係はイスラム教徒の最も重要な長所だ。イスラムは敵意や陰口や中傷冒とくや嘲笑、攻撃的な名前や疑いと傲慢を非難する。